このサイトは,「こども伊万里学」指導資料作成研究委員会(伊万里市教育委員会委嘱)が伊万里焼について学ぶこどもたちのために制作した教材サイトです。 各学校の授業でご活用ください。


鍋島焼(なべしまやき)種類(しゅるい)

 
 鍋島焼にはいくつかの種類がありますが, 代表的(だいひょうてき)なものは(いろ)鍋島・鍋島染付(そめつけ)・鍋島青磁(せいじ)です。鍋島藩窯の作品の大半(たいはん)は,鍋島染付と鍋島青磁です。さらに, 銹釉(さびゆう)()い青色((あい)(いろ))をした瑠璃釉(るりゆう)などを()()わせたものもあります。

 色鍋島とは,藍色(あいいろ)呉須(ごす)下絵(したえ)(えが)き,本焼(ほんやき)をした後,赤色・黄色・緑色の3色で上絵(うわえ)をつけたものです。基本的(きほんてき)に金色や銀色は使用しません。(かぎ)られた色数で,様々(さまざま)なデザインが(ほどこ)されています。一方(いっぽう),上絵の下に描かれた藍色の輪郭(りんかく)(せん)特徴(とくちょう)の一つです。色(あざ)やかな色鍋島は,日本磁器(じき)最高峰(さいこうほう)として,その(うつく)しさを(ほこ)っています。

(いろ)鍋島
伊万里・鍋島ギャラリー蔵

 鍋島染付とは,透明感(とうめいかん)のある素地(そじ)に,呉須(ごす)による(あい)一色の染付を(ほどこ)したものです。藍色以外の色を使わないため,(せん)()きや()みがはっきりと見え,気品(きひん)ある(うつく)しさがあります。これは,(あい)鍋島とも()ばれています。盛期(せいき)の鍋島焼では,丁寧(ていねい)に力強く引かれた輪郭線(りんかくせん)筆跡(ふであと)が分からないようにムラなく施された()み,緻密(ちみつ)墨弾き(すみはじ  )などの技法(ぎほう)充実(じゅうじつ)し,鍋島焼ならではの()()いた品格(ひんかく)があります。

鍋島染付(そめつけ)
伊万里・鍋島ギャラリー蔵

 鍋島青磁とは,大川内山から産出(さんしゅつ)する(しつ)の高い青磁原石(げんせき)(もち)いた青磁(ゆう)を,何度(なんど)もかけて()き上げたものです。青磁釉は,鉄分(てつぶん)を1〜2%(ふく)んだ釉薬で,還元焔で焼成(かんげんえん  しょうせい)することにより,青緑色に発色(はっしょく)します。鍋島焼には,気品(きひん)ある青磁が多数見られます。

鍋島青磁(せいじ)
伊万里・鍋島ギャラリー蔵

大川内山の青磁(せいじ)原石(げんせき)


鍋島焼(なべしまやき)形状(けいじょう)

 鍋島焼の形状として最も多いのが, 木盃形(もくはいがた)の皿ですが,それ以外にも(つぼ)(びん)(はち)水指(みずさし)向付(むこうづけ)香炉(こうろ)置物(おきもの)重箱(じゅうばこ)水注(すいちゅう)花生(はないけ) などがあります。


(つぼ)
佐賀県立
九州陶磁文化館蔵
(びん)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
(はち)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
水指(みずさし)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
向付(むこうづけ)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
香炉(こうろ)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
置物(おきもの)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵
重箱(じゅうばこ)
伊万里・鍋島
ギャラリー蔵

鍋島(やき)のデザイン


 大川内 (おおかわち)(やま)窯元(かまもと)所蔵(しょぞう)している佐賀鍋島藩(        はん)図案帳(ずあんちょう)を見れば,形や図柄(ずがら)について藩から(こま)かく指示(しじ)されていたことがわかります。

佐賀鍋島藩の図案帳

 図案としては, 品格(ひんかく)意識(いしき)した()()いたものが多く,山水(さんすい)画調(がちょう)文様(もんよう),中国(ふう)の花や鳥,幾何学的(きかがくてき)な文様もあります。このように(うつく)しく,かつ斬新(ざんしん)洗練(せんれん)されたデザインは,日本磁器(じき)最高峰(さいこうほう)と高く評価(ひょうか)されています。
染付山水文(さんすいもん)大皿 染付岩山(いわやま)吹文(ぶきもん) 色絵鳳凰文(ほうおうもん) 色絵更紗文(さらさもん)
福岡市美術館蔵 伊万里・鍋島ギャラリー蔵

鍋島(やき)の決まりごと

 

 鍋島焼には, 大名(だいみょう)道具(どうぐ)としての品格(ひんかく)と風格を(たも)つために,たくさんの決まりごとがありました。鍋島藩窯(はんよう)では,次のような決まりごとを守って作業(さぎょう)分業化(ぶんぎょうか)することで,高い技術(ぎじゅつ)レベルを保持(ほじ)していました。

○鍋島焼の皿の決まりごと

  1. 器形 (きけい)木盃形(もくはいがた)であること
     鍋島焼は城内での使用をはじめ,食生活用品の比率が高く,ほとんどが 会席(かいせき)(ぜん)用の食器といわれています。1670年代以前のものは,見込みが浅く全体に偏平(へんぺい) です。
  1. 大きさが決まっていること
     尺(しゃく)
    (約30cm)・七(すん)(約21cm)・五(すん)(約15cm)・三(ずん)(約9cm)

  1. 高台(こうだい)が高いこと(口径(こうけい)の10分の1ほど1670年代以前は盛期(せいき)に比べて低い)
     将軍(しょうぐん)への献上品(けんじょうひん)大名(だいみょう)への贈答用(ぞうとうよう)として作られたため,高台を高くしてあります。

  1. 高台に規則(きそく)正しい文様(もんよう)があること(1670年代以降(いこう)櫛歯(くしは)(もん)一般化(いっぱんか)する)
     高台に 寸分(すんぶん)(くる)いなく,(くし)の歯のように等間隔(とうかんかく)(えが)かれた文様は,()きはじめと描き()わりの見分けがつかない(ほど)精密(せいみつ)さです。

  1. 規則正しい(うら)文様(もんよう)があること

  1. 色絵(いろえ)の下には下絵線(したえせん)呉須(ごす)線)があること(1670年代以前の作品にはないものが多い)

  1. 基本的(きほんてき)上絵(うわえ)には赤・黄・緑の三色しか使わないこと

  1. 基本的に成形(せいけい)丁寧(ていねい)で,形状は緻密(ちみつ)であること

     成形はろくろ 細工(ざいく)によって行われます。(けず)り出しによる「丸物(まるもの)成形」と(かた)にかぶせることによる「(かた)()ち成形」とがあります。いずれの成形法によっても形状は緻密(ちみつ)で一分の(ゆが)みもありません。

今では(めずら)しくなった磁器(じき)のろくろ成形(せいけい)

緻密(ちみつ)形状(けいじょう)()(もの)(わん)

  1. 基本的に(せん)()きは丁寧(ていねい)で,線描きの太さは一定していること。また,()みは丁寧で,むらがないこと。
     濃みとは, 下絵付(したえつけ)行程(こうてい)の一つで,文様の輪郭(りんかく)(せん)などを線描きした後に,その内側(うちがわ)濃淡(のうたん)をつけて()作業(さぎょう)のことです。鍋島焼の場合(ばあい)は,()(さき)根本(ねもと)だけではなく,葉の輪郭も()めるのが特徴(とくちょう)です。

(せん)()きの作業(さぎょう)

()みの作業

  1. 基本的に絵付(えつ)けは丁寧(ていねい)で,輪郭(りんかく)(せん)からはみ出さないこと

上絵付(うわえつけ)の作業


鍋島(やき)の現在

    
  鍋島藩窯(はんよう)は,明治(めいじ)時代の廃藩置県(はいはんちけん)によってなくなりましたが,鍋島焼の伝統(でんとう)技術(ぎじゅつ)は,現在の伊万里(やき)()()がれています。現在の伊万里焼は,これまで(どお)りの鍋島焼の伝統を受け継ぐ伊万里焼がつくられている一方(いっぽう)で,コーヒーカップなど現代(げんだい)の生活様式(ようしき)に合った形状(けいじょう)の伊万里焼も多くつくられるようになりました。このように生活様式の変化(へんか)により,現代(ふう)の伊万里焼が多くなってきていますが,鍋島焼の伝統技術は,こうした現代風の伊万里焼にも生かされています。

鍋島(やき)伝統(でんとう)()()ぐ伊万里焼

現代風(げんだいふう)の伊万里焼


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